ヘンリー・リー・ルーカスにまつわる..人々(第三回)

第三回 アイリーン・ウォーノス

邑上の私見なんですけども、ヘンリーに関わる人をばんばん紹介していくコーナーです!第三回いきましょう!
(ほんまに私見なので異論異説あるかとは思います)

 

アイリーン・ウォーノス「モンスター」

アイリーン・ウォーノス
1956年2月29日生まれ
2002年10月9日処刑

アイリーンに関しては、個人的にはどうしても感情移入してしまう部分が多くて、7人を殺害した事は許されないものだが、僕は涙してしまう。

彼女の幼少期は壮絶だった。母親は14歳、父親は16歳。
母は祖父母にアイリーンを預け失踪し、父親は7歳の女の子を強姦した罪で逮捕され、刑務所内で自殺。
そして祖父には服を脱がされ殴られ、性的に虐待され、更には兄とも性的関係を持ってしまう…。
祖父の友人にも強姦され、妊娠。
この子供は養子に出された。
誰も彼もが彼女から凡ゆるものを奪っていった。
そんな中、比較的まともではあった祖母が死亡し、アイリーンは家出し学校も中退する。
売春しながら路上生活をしていた。
更には祖父、兄が立て続けに死亡。

アイリーンは天涯孤独となった。
愛も知らず、孤独という病が彼女を蝕んでいた…。

その後数人の男性と結婚する事が出来たのだが、アイリーンの粗野で短気、衝動的な性格が原因で離婚。

再び孤独となってしまう。

孤独と犯罪に塗れた生活を送る中、
1986年、運命の相手、ティリア・ムーアと出会う。
今までの結婚相手や付き合ってきた男達とは違い、アイリーンは初めて「愛」を彼女に感じ、知ってしまう。

この出会いがなければアイリーンは殺人鬼にならなかったんじゃないかと個人的には思う。だが、アイリーンにはきっと救いだった。

アイリーンは当時ティリアが働いていた清掃員の職を彼女に苦労させたくない、一緒に居たいと言う理由から辞めさせ、今まで以上に娼婦の仕事を必死に取り組む様になる。

しかし、このとき30歳になっていたアイリーンは、酒とドラッグとその不安定な生活の為50歳くらいに見える程に老け込んでしまいお客がつかず、焦っていた。

そん時、アイリーンの最初の被害者となる男性が襲ってきた為に、アイリーンは衝動的に自己防衛で射殺してしまう。
このときに、彼女は思ってしまった…

「なんで私がいつも奪われる側なのよ…これからは私が奴等から奪ってやる。」

このときに「モンスター」アイリーン・ウォーノスが生まれて、その後6人の男性を金目当て、そして「恋人のため」に射殺していく。

時には被害者の車でティリアと酒をがぶ飲みしながら遊ぶ事もあり、まあ普通に事故って逃げる。
指紋とかもがっつりつけて…。

そして、アイリーンとティリアは共に逮捕されてしまう。
二人とも殺人罪で有罪になれば死刑は免れない。
そこでティリアはアイリーンが全部自分がやったんだ、ティリアは何もしちゃいないと言う証言を得るため、アイリーンに電話をかける。
警察も主導の元…彼女を嵌める事にしたのだ。

だけど、アイリーンは全てを分かった上で、ティリアが助かる様に証言する。

だって愛しているから
あんたしかあたしにはいないからさ
あんたが幸せになるならいいんだよ

裁判でティリアがアイリーンに不利な証言をしても、アイリーンは何一つ責めず、愛おしそうにティリアの顔を眺めていた。

裁判では皆が望む様な「モンスター」さながらの振る舞いであった。
死刑判決が下ったときもこう言ったという…
「死刑を受け入れるよ。だってあたしは天国行き。あんたらは地獄に落ちるんだからね!」と鼻で笑った。

そして、2002年10月9日。
薬物注射によるアイリーンの処刑は執行された。

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「あたしはこれから航海に出るけどさ、インデペンデンスデイっていう映画みたいにイエス様と一緒に帰ってくるわ。6月6日にね。戻ってくる。戻ってくるわ。」

処刑場に向かう彼女は満面の笑みでこう、最期の言葉を残した。

もし、彼女の幼少期にちょっとでも守ってくれて愛情に包まれた瞬間があり、孤独でなければ、社会の網が彼女を拾い上げ安定した職に就けていれば「モンスター」は生まれなかったのかもしれない。

 

 

そして孤独の病に蝕まれ、地獄の世界で一本の愛と言う糸を見つけなければ、それの為に殺人を犯す事はなかったのかもしれない。

そうはならずアイリーンは「モンスター」として処刑された。

2003年
アイリーンの人生はハリウッドで映画化された。

 

 

 

 

 

主演のシャーリーズ・セロンの素晴らしい演技がアイリーンの複雑で不安定な性格を見事に表現しているので必見です。

タイトルは「モンスター」です。是非ぜひ。

今回の舞台でこのアイリーンがどの様になるのか…
邑上もめちゃくちゃに楽しみにしてます。

(文:邑上笙太朗)


邑上笙太朗(むらかみしょうたろう)

2、3年前まで舞台経験はなく、ナレーションやら声の芝居やら何やらしてました。2016年末に集団as if〜に入団。その後、Voyantroupe、虚飾集団廻天百眼、集団NO PLANなど、舞台や朗読での客演多数。2018年に同劇団解散。以後野良で活動中。家なき子です。
邑上笙太朗twitter

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