思春期公演とは

演技未経験者に向けて開かれたオーディションワークショップから、その参加者で構成した公演のこと。新人や未経験者に、まずは舞台を経験してもらいたいということを第一としています。新人であっても主要な役どころを担っていただくのは、さまざまな問題提起の中で第一歩を踏んでいただきたいというためです。思春期公演を経験した新人俳優の中から、劇団Voyantroupeの本公演にオファーするという順序立てもあります。

2017年 第四次思春期公演
『とりかえこ』

純粋なホラーの舞台を作るために廃墟を研究して周り、このセットが出来上がった。草のセットは実際の草を使い、雨や湿気で腐りかけた布きれやゴミを丹念に床に散布させ、なおかつそれらで転換を補い、隠れたりすることができるように計画してみた。一週間のアクトで踏みしめられた草が土化して噴煙を撒き散らし、それはもうリアリティ溢れる仕様となったが、照明器具や客席への影響などを考えると二度と作りたくないセットとして語り継がれることになった。一部舞台マニアの間では絶賛の評価を頂いていたようだね。
2018年 第五次思春期公演
『るさあるかゔぉじゃのおい』

池や沼の妖怪ということで舞台上に水槽を仕込み、を用意した。沼とはいっても泥だらけになってはマズイので中はただの水にしたのだけれども、沼の中に潜んでいたりすることもあったので役者はずぶ濡れになったりした。前回、実際の草を使用したことでメンテナンスがてんやわんやになったため、今回は偽の草を使用。ただし、沼の上に生えていたはこだわりの末、実際のものを使用することにした。セットは民家、森、温泉、など複数箇所での演出に使用されていたため、上手側の生垣は扉が開く箱状のものになっていた。箱を閉めると生垣。開けると箪笥の中のセット、みたいな構造だね。
2019年 第六次思春期公演
『リャ・リャ・リャナンシー』

こちらもにまつわる妖怪だったので、舞台は相変わらずの「紗幕奥が湖」という設定になった。終始、湖と関連の深いストーリーであったため、紗幕はほぼ映像の湖を映し出す投影幕となっていた。前回とは違い、床が水仕様になっているわけではなかったが、都度、水を吹きかけたりはしていたので舞台袖はまさに戦場だったそうな。終いには頭だけで1m50cmはあろうかという怪魚タキタロウを出現させ、それはもう大仕事となった。草木は過去の苦労を鑑みて、結局全てギミックに変化した。少し残念ではある。そういえばセットの生垣に名称を付けたな。下手側がモリゾー、上手側がキッコロという名前。場当たり時などは、「モリゾーの陰に隠れて待機して」とか、「キッコロ入り」とかにとても便利に名前が使われていたね。
2020年 平中妖怪(第七次思春期)公演
『キョ×ンシー』

中国の妖怪がメインの舞台ということで、朱造りのセットになった。丸い柱に中華風の敷物や窓枠。美術さんのこだわりが光る。中国が舞台のはずが、実は草津の某温泉宿をモチーフにしている。ストーリーの中でも湯畑のライトアップを彷彿とさせるようなセリフがあるのだけれど、これは実はVoyantroupeが毎年のように草津旅行に行っていることのオマージュとしている。作者の温泉好きから、温泉に因んだ作品が多いのは必然かと思われる。そうでしょ?ちなみに上手側の紗幕の奥は岩場になっており、丁寧に苔などが配置されたのだが暗すぎてほぼ客席からは見えない。「あかりをつけるとアクアリウムのようだ」という声が上がったので、演出が寝ずにアクアリウムの映像を作って客入れ時に流そうとしたが、意味不明だという意見があり徒労に終わった。中日以降はを入れる予定であったが、これも企画段階で途絶えた。なお、この時のアクアリウムの映像はのちの公演でも休憩時にリラクゼーションのため舞台上で放映していたりする。

舞台はもう一つの世界を創ることが出来る
さあ、異世界で活躍しよう

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